タオとの出会いは、2012年、県の動物愛護センターにふと立ち寄った時です。
前々から犬を飼いたいと思っていたのですが、拙宅が狭く庭が無いので大きな犬を買うことはできません。
動物愛護センターで、職員さんが小さな柴犬をリードをつけて歩く訓練をされているのが目に止まりました。
声をかけると子犬ではなく2歳くらいの成犬、保護犬で次の譲渡会に出されるとのこと。
この大きさの犬なら飼えると判断しました。
譲渡会当日、私の他に2人の方が里親になることを希望されており抽選となりました。
職員さんに「私が引き当てるから見ていて」と小さな声で語りかけて、くじを引きました。
当選です。
今思えば、他の方にもらっていただいていたら、こんな事にはならなかったとタオには申し訳ない気持ちでいっぱいです。
困ったのは、当日早速タオを自宅に迎えなければならなかったこと。
1週間くらい猶予があるのかと思っていました。
しかたなく、首輪もリードもないままデミオに入れたタオは震えていて、なんだか可哀想でした。
帰りにホームセンターでとりあえず首輪とリードを買ったのですが、首輪が大きく、スポッと抜けて早速逃げてしまいました。
幸いホームセンターの屋上駐車場にデミオを止めていたのでホームセンターの方のお力も借りて捕獲いたしました。
それからタオとの生活が始まりました。
宅内で用を足さないので、雨の日も風の日も散歩をさせることとなりました。
デミオに乗せていろいろなところに連れて行きました。
ある日、タオがリードを咬みちぎって拙宅からいなくなり、どうしたものかと思いました。
翌日、母ととりあえず散歩コースの石手川沿いを探すことにしました。
見つかりません。
諦めかけていた頃、対岸の茂みの中にタオとよく似た犬が目に止まりました。
「タオ」と呼ぶと、ギャンギャン鳴き始め、橋を渡ってそちらに行くから待てと声をかけたのですが、あまりにも鳴き声がけたたましく付近に響き渡るので、仕方なく、川に足を入れて渡り保護に向かいました。
いつもなら、「おいで」と声をかけても無視なのですが、その時はすんなり抱くことができました。
一件落着です。
その後も逃げ出したことがありましたが、石手川にあるドッグランを覚えていたのか、タオ一匹でドッグランの前で待っていました。
動物愛護センターの犬はくせ者が多いようですが、かなり賢く、とりあえず私をご主人様と認めてくれているようでした。
まさか、タオを手放す時が来ることなどその時は考えもしませんでした。